3Dモデリングとアニメーション
図3-1-0
第3部では、S2AR の応用について説明していきます。外部のアプリケーション・サービスと連携する「3Dモデリングとアニメーション」「地図を表示させる」「分子構造模型」を学びます。
MagicaVoxel
図3-1-1
MagicaVoxel は、ephtracy がオープンソースで開発を進めている、ボクセルモデリングソフトです。Windows、Mac の両方に対応しており、公式サイトより無料でダウンロードできます。パストレーシングによる高品質なレンダリングも可能で、ゲーム素材の作成やアート作品の製作など、様々な用途で活用されています。
まだお持ちでない方は、自分のパソコンに合った最新バージョンの MagicaVoxel をダウンロードして、インストールしておきましょう。
ボクセルとは
図3-1-2
「ボクセル」とは3Dモデルを構成する最小単位で、サイズ「1 x 1 x 1」の立方体で表されます(2次元の「ピクセル」に対応した言葉)。ボクセルを積み上げて、複雑な3Dモデルを作成する「ボクセルアート」という分野は人気があり、様々な作品がネット上で公開されています。3Dプリンターを使って、現実世界に実体化することができますが、時間も費用もかかってしまいます。
S2AR は「3Dモデル作成」機能があり、拡張現実にボクセルアートをクラフトすることができます。そして「アニメーション」機能で、ボクセルアートを動かすことができるのです(ボクセルアニメ=Voxel Animation)。
3Dモデルの作成(準備)
図3-1-3
MagicaVoxel を起動すると、サイズ「40 x 40 x 40」の立方体が表示されます(左のパレットで選ばれている色になります)。これからモデリングするのに邪魔になりますから、全て消してしまいます。
図3-1-4
右上のモデルサイズを「20 20 20」に変更します。左上のエディットモード「B(=ボックス)」「Erase(=消す)」を選択します。グリッド等を表示するために、左下のボタンは全て選択しておきましょう。
右手前下のボクセルをクリックして、クリックしたまま左上に動かしてください。ボックス(箱)単位で選択されたボクセルが削除されます。一度ですべてのボクセルが消せなかったときは、二度、三度同じ作業を繰り返して、全てのボクセルを消してしまいます。
図3-1-5
全てのボクセルが消された状態になりました。ここから3Dモデル作成がスタートします。まずマウスの操作を練習します。
マウス(右クリック)=ボクセルを置く、消す、色を塗る等の操作を行う。
マウス(左クリック)=視点の回転
マウス(中クリック)=視点の移動
マウス(ホイール)=視点の拡大縮小
このマウス操作は、ほとんどの3Dモデリングソフトでも共通操作なので覚えておくとよいでしょう。
マウス操作のコツがつかめたら、作りたいモデルをイメージしながら、次の節に進んでください。
3Dモデル作成(モデリング)
図3-1-6
モデリングに入っていきます。今回は簡単な「ひよこ」を作ってみようと思います。
まず左のパレットで設置するボクセルの色を選びます。茶色(r, g, b)=(153, 0, 0)を選びました。次に左上のエディットモード「V(=ボクセル)」「Attach(=置く)」を選びます。左右対称の形状を作るときは、ミラーモード「X」を選んでおくと便利です。X-Y 平面(底面)の中心あたりをクリックして、ボクセルを置いてください。Y-Z 平面に対して対象の位置に、2つのボクセルが置かれました。
図3-1-7
エディットモード「F (=面)」「Attach」にすると、平面を置くことができます。
図3-1-8
後からボクセルの色を変えるには、エディットモード「Paint(=塗る)」を選びます。左のパレットで塗りたい色を選んで、ボクセルを選択してください。
これでボクセルアートは完成です。「File(=ファイル)」→「Save as(名前をつけて保存)」から「hiyoko.vox」と名前をつけて保存してください(保存する場所は「書類」「デスクトップ」など自分が使いやすいところを選んでください)。
次に、作成したモデルデータを iPhone に転送して、S2AR で「3Dモデル作成」する手順を説明します。
3Dモデル作成(S2AR)
図3-1-9
「File」→「Export(=書き出し)」→「ply(ポリゴン・ファイル・フォーマット)」を選びます。
図3-1-10
「export」フォルダに「hiyoko.ply」を保存します。このデータを iPhone に転送します。
図3-1-11
iPhone を USBケーブルでパソコンと接続します。iTunes で iPhone を開き、「ファイル共有」を選びます。「s2ar」→「追加」で共有したいファイルを選びます。
図3-1-12
先ほど書き出した「hiyoko.ply」を選んで、「追加」をクリックします。これで iPhone にファイルが転送されました。
図3-1-13
パソコンのインターネットブラウザ(Chrome)でhttp://scratchx.org
を開いてください。Extension URL
https://champierre.github.io/s2ar/extension/s2ar.js
を入力して、S2AR の拡張ブロックが使えるようにします。「3Dモデル作成ブロック」の PLYファイル入力欄に「hiyoko.ply」を入力して、実行します。
図3-1-14
拡張現実世界に、ボクセルアート「HIYOKO」をクラフトすることができました。第2部の自動車を作る
では、設計図を書いて、座標を読み取ってリスト化するなど、非常に手間がかかりましたが、MagicaVoxel との連携機能を使えば、簡単に 3Dモデル作成を行うことができるのです。アニメーション
以下は書籍でご確認ください