iPhone とパソコンを接続する

iPhone とパソコンを接続する

S2AR アプリで拡張現実をプログラミングするためには、iPhone と パソコンをつながなければなりません。その方法を詳しく説明していきます。

無線 LAN(Wi-Fi)接続する

最も一般的な方法は、家庭の Wi-Fi の同じ回線に、iPhone とパソコンを接続することです。回線速度が速ければ、安定した接続を持続できます。

iPhone が接続中の Wi-Fi 回線の調べ方

図1-4-1

iPhone のホーム画面より「設定」→「Wi-Fi」をタップすることで、現在接続中の Wi-Fi を調べられます。

パソコン が接続中の Wi-Fi 回線を調べる方法

図1-4-2

タスクトレイの「Wi-Fi」アイコンをクリックします。現在接続中の Wi-Fi 回線が表示されます。S2AR を使うためには iPhone とパソコンが同じ Wi-Fi回線に接続している必要があります。もし iPhone とは別の回線につながっている場合は、同じ回線名をクリックして接続し直してください。

S2AR の IP Address を入力する

図1-4-3

iPhone の S2AR アプリを起動します。画面の下に、S2AR アプリの接続用「ID」が表示されるので確認してください。図1-4-3を見ると、ID は「8675-6263」であることが表示されています。数字は毎回ランダムに変更されます。

図1-4-4 図1-4-4を参照してください。ScratchX サイトのカテゴリー「その他」を選びます。「スクリプトエリア」に「接続ブロック」を移動します。「接続ブロック」の入力欄に、 S2AR アプリの「接続用 ID」の数字「8675-6263」を入力します。「接続ブロック」をクリックして、S2AR とパソコンを接続するプログラムを実行します。

図1-4-5

S2AR アプリに「Connected(接続された)」と表示されたら、iPhone とパソコンの接続は完成です。これで拡張現実をプログラミングできるようになりました。

接続できないときは

図1-4-7

ブラウザの右上に「安全でないコンテンツがブロックされました」のアイコンが表示される場合があります。この表示は Chromeのセキュリティ強化により現れるようになりましたが、この本の手順にしたがっている限りにおいて、S2AR は安全なので、ブロックを解除してください。

図1-4-7のアイコンをクリックすると確認アラートが表示されます。「安全でないスクリプトを読み込む」をクリックします。Extnsion URL の入力からやり直すとことで、iPhone と接続できるようになります。

図1-4-6

それでも接続できないときは、まず S2AR アプリの再起動をしてみてください。それだけで接続できる場合が多いです。再起動の直後は比較的、接続しやすくなります。

iPhone のホームボタンを「ダブルクリック」してください。図1-4-6のように起動しているアプリがすべて表示されるので、S2AR を選んで、上(または横)にスワイプしてください。この操作で S2AR を終了させることができます。その後、 S2AR を再起動してみましょう。

ホームボタンがない iPhone の場合は、画面の下の横棒を中央付近まで引っ張ってくると、起動中のアプリが表示されるので、S2AR を選んで、上(または横)にスワイプしてください。

それでも接続できないときは、「接続用 ID の入力ミス」「同じ Wi-Fi に接続できていない」「Wi-Fi の電波が弱い」などの理由が考えられます。この章のはじめから、もう一度慎重に作業を進めてください。

Youtube のS2AR解説動画を公開中です。合わせてご参考にされてください。

(YouTube)

iPhoneとパソコンを接続する

「Wi -Fi 接続」以外の方法

iPhone とパソコンを接続する方法は、Wi-Fi だけではありません。お使いの iPhone がテザリングが可能であれば、以下の方法を使うこともできます。テザリングなら Wi-Fi 接続が使えない外出先でも S2AR を使うことができるようになります。(テザリングとは、スマートフォンを Wi-Fi ルーターのように使い、パソコン・ゲーム機等をインターネット接続できるようにする機能のことです。本書では「テザリングする方法」自体は説明しないので、ネット等で各自調べてください)

①USB テザリング

②Wi-Fi テザリング

③Bluetooth テザリング

いずれの方法でも、手順は「Wi-Fi 接続」の場合と共通です。パソコンで ScratchX サイトを開いて、Extension URL を入力します。S2AR アプリに表示される接続用 ID を「接続ブロック」に入力します。「接続ブロック」をクリックして実行します。S2AR に「Connected」と表示されたら成功です。

上記の3つの方法のうち 「①USB テザリング」は充電しながらアプリを使うことができ、接続が安定するなど利点があるのでおすすめです。

次の章では、仮想オブジェクトをクラフトするための基準となる「原点(Origin)」を設置する方法を学びます。

パソコンから ScratchX サイトを開く

パソコンから ScratchX サイトを開く

ScratchX とは

Scratch は、MIT(マサチューセッツ工科大学)が開発したビジュアルプログラミング言語です。子供を含めた初心者が視覚的にプログラミングを学習できることが特徴です。難しいコード(プログラミングの命令文)を覚えなくても、各種のブロックを重ね合わせるだけで、ゲームを含めたプログラムを感覚的に作ることが可能です。

ScratchXは、Scratch に自作ブロックを追加できる新機能(Extension)がついた Scratch の次期バージョン「3.0」の実験版です。ロゴの横に Beta(ベータ)と書かれていますが、「これが実験版です」という意味を持っています。

ScratchX サイトを開く

図1-3-1

パソコンを起動して、インターネットブラウザ(インターネットを閲覧するアプリ)を開いてください。
インターネットブラウザにはたくさんの種類がありますが、Google の「Chrome」ブラウザを推奨します。Windows と Mac で同じ操作が可能であり、更新が頻繁でセキュリティに優れるなどのメリットがあるからです。

お使いのパソコンに「Chrome」ブラウザがインストールされていないときは、次の URL より」ダウンロードしてインストールできます。

https://www.google.co.jp/chrome/index.html

図1-3-2

「Chrome」ブラウザを起動して、上の検索窓に「scratchx.org」と入力してください。「Enter(Windows)」または「Return(Mac)」キーを押してください。

図1-3-3

ScratchX サイトのトップページ(はじめに開かれるページ)が開かれました。「Chrome」ブラウザーの便利な機能で英語を日本語に自動で翻訳できるのですが、今回は英語のままで使用します。「翻訳しますか?」と聞かれたら「いいえ」を選んでください。

ScratchX サイトに「Extension URL」を入力する

図1-3-4

ScratchX サイトのトップページの「Open Extension URL」をクリックします。

図1-3-5

https://champierre.github.io/s2ar/extension/s2ar.js


入力欄に上記のコードを入力して、「Open」をクリックします。このアドレスに、拡張機能ファイル(s2ar.js)が置かれており、そのファイルを読み込むことで拡張機能が使えるようになるのです。

図1-3-6

Warning(警告)画面が現れます。ScratchX サイトから悪意のある URL に接続すると個人情報を盗まれるなどの危険があるため、「本当に接続してよいか?」の確認を求められるのです。S2AR サイトは安全のため、「I understand, continue(わかりました。続けます)」をクリックします。

図1-3-7

画面中央の「ブロックパレット」に S2AR 独自のブロックが表示されれば成功です。

次の章で、iPhone とパソコンをつなげると、S2AR が使用できるようになります。

S2AR アプリのインストール

S2AR アプリのインストール

まず初めに、 App Store から S2AR アプリをインストールします。iPhone ユーザーなら簡単だと思います。

アプリの検索

iPhone のホーム画面にある「App Store」のアイコンをタップして、App Store を開いてください。

図1-2-1

右下の「検索」をタップして、検索窓に「s2ar」と入力してください。検索結果から「入手」ボタンをタップすることで、アプリをインストールできます。

アプリの起動

図1-2-2

インストールが終わると、App Store の「開く」ボタンから、S2AR を起動できます。
あるいは、iPhone のホーム画面に現れた「S2AR」アプリのアイコンをタップして、起動することもできます。

図1-2-3

カメラへのアクセスが求められたら「許可」してください。S2AR の初期画面が表示されます。
中央下には S2AR とパソコンを接続するための ID(この例では、2750-0426)が表示されています。iPhone を上下左右に傾けると、青のグリッド(格子)で「X-Y 平面」が表示されます。左下の「Hide」ボタンを押すと、「X-Y 平面」と座標軸を見えなくすることができます(再び表示させたいときは「Show」ボタンを押す)。右下の「Help」ボタンを押すと、S2AR のヘルプ画面が表示されます。

これで、アプリのインストールと起動が完了しました。このアプリだけでは仮想オブジェクトを設置することはできないので、パソコンの Scratch と接続する必要があります。

S2AR を使うためには

S2AR を使うためには

S2AR を使うためには、事前の準備が必要です。すばらしい拡張現実の世界が、あなたを待っています。一つずつ慎重に作業を進めてください。

必要なもの

①iPhone、iPad(iOS 11 以上)
機種としては、A9プロセッサー内臓の iPhone 6S 以降、iPhone SE、iPad(第5世代)以降が必要です。本書は、iPhone SE を使って作業を進めていきます。

②パソコン(Windows、Mac)
ご家庭の Wi-Fi につなぐ場合は、無線LAN内臓パソコンが必要です。USB接続の無線LAN子機で Wi-Fi につなぐこともできます。
iPhone のUSBテザリングを利用する場合は、iTunes アプリをインストールしておく必要があります。Mac はあらかじめインストールされていますが、Windows ではネットに接続して、ダウンロード後、インストールしてください。

iTunes アプリ(Windows)へのリンク

作業手順

手順をまとめると以下のようになります。

①iPhone に S2AR アプリをインストールする

②パソコンで、ScratchX サイトを開く

③iPhone とパソコンを接続する

④原点(Origin)を置く

⑤仮想オブジェクトを設置する

以下の節で、一つずつ作業を進めていきます。

S2AR とは

S2AR とは

S2AR アプリへのリンク

Scartch と拡張現実をコネクトする

S2AR(Scratch2ARkit)は、その名前の通り、Scratch というプログラミング言語と ARKit(拡張現実アプリ開発フレームワーク)を接続します。そうすることで、Scratch プログラミングで拡張現実の中に立方体(ブロック)を設置することができるようになります。
「ブロックを積み重ねてクラフトする」という意味で「マインクラフト」ライクのようなアプリケーションといえるでしょう。マインクラフトがこの現実世界に飛び出してきたイメージです。

S2AR は Junya Ishihara 氏によって開発された iPhone/iPad 専用のアプリです。Junya Ishihara 氏は S2AR の他にも、Scratch とマインクラフトを接続する「Scratch2MCPI 」などの「Scratch2 -」シリーズのプログラムを公開されています。興味のある方は GitHub という、ソフトウェア開発の共有サービスを覗いてみましょう。

GitHub – Junya Ishihara へのリンク

誰でも気軽に拡張現実を楽しむために

拡張現実(AR = Augmented Reality)は、SF漫画やアニメの世界ではおなじみの近未来技術です。拡張現実では、現実世界に重ねて、必要な情報やオブジェクト(物体)が現れては消えていきます。スタイリッシュな便利さから、拡張現実に興味を持っている人はたくさんいると思います。

拡張現実をプログラミングする上で、第一のハードルは必要機材が高価なことです。例えば、VR(仮想現実)対応をうたう「ゲーミングパソコン」は20万円程度で販売されています。一番人気のある VR ゴーグルである「HTC Vive」は約10万円で、合計30万円の出費が必要です。
S2AR は無料の iPhone/iPad アプリです。iPhone ユーザーでパソコンをお持ちの方は無料で拡張現実をプログラミングすることができるようになります。
高価な機材を買うことができず、拡張現実に触れることができなかった人たちに対して、S2AR で拡張現実をプログラミングしてみることをお勧めします。

第二のハードルは、プログラミング言語の難しさです。例えば、Unity というゲーム開発環境でプログラミングするためには、「Javascript」「C#」「Boo(Python)」といった言語を学ばなければなりません。元来、3Dゲームを開発するのに必要だった「C/C++言語」より習得が容易だと言えますが、自分が思い通りのものを作り上げるためには、通常、数十時間〜数百時間の学習が必要です。
S2AR の開発言語は「Scratch」です。Scratch は子どもを含めた初心者向けのプログラミング言語として最も有名なものの一つです。本屋に行けば関連の書籍がたくさん出版されており、日本でも人気があります。
Scratch ならプログラミング習得にかかる時間を少なくすることができます。直感的に「Scratch ブロック」を積み重ねることで、すぐに拡張現実プログラミングをスタートできるのです。

図0-3-1

図0-3-1は S2AR を使って、拡張現実に円錐(コーン)を設置した画像です。パソコンの画面に見えている簡単なプログラムで、こういった複雑な形状も自由にクラフトできるのです。この円錐は第2部1章「円錐(コーン)を作る」で詳しく説明します。

以上述べてきたように、「S2AR は誰でも気軽に拡張現実を楽しむために開発された画期的なアプリケーション」なのです。さあ、この機会に拡張現実プログラミングを始めましょう!