新章開幕! S2AR編

chapter_10

はじめに

子供の頃から、私には夢がありました。それは空間に自由に文字を書くことです。
空想の中で、私は【魔法のペン】を持ち、【多くの観客】を前に【ステージ】に立っていました。手を動かすと、カラフルな文字や図形が空間に現れては消えていきます。それを見て、観客は大喜びしています。—こんな未来の自分の姿を想像していたのです。

その夢が今、拡張現実の世界で実現しました。ステージは【iPhone の小さな画面】で、魔法のペンは【Scratch プログラミング】、そして観客は【すべての iPhone ユーザー】です。この夢の技術(ARKit)は、すべての人が自由に使うことができます。これは画期的なことです!

S2AR は、Scratch というプログラミング言語で、「拡張現実(ARKit)」を操る iPhoneアプリです。
通常、拡張現実をプログラミングするには、高価なグラフィックボードを積んだ VR用のパソコンと、VRゴーグルが必要です。数十万円の出費が必要な上に、高度なプログラミングのスキルも求められます。一般の人は興味があっても、簡単には手が出せません。
対して、S2AR は無料です。そして高度なプログラミングスキルは必要ありません。最も簡単なプログラミング言語の一つである Scratch で ARKit を操作できます。iPhone とパソコンさえあれば、誰でも気軽に拡張現実に「仮想オブジェクト」をクラフトして楽しむことができます。

この本は S2AR 初の解説書です。拡張現実をプログラミングする楽しさを感じていただけることを目的としています。
入門編「仮想オブジェクトを設置する」で、S2AR の基本の操作を解説しています。
初級編「円錐(コーン)を作る」「空間に文字を書く」「正多面体」で、Scratch プログラミングを学習します。
中級編「自動車を作る」「ジオラマ作り」で、学んだ知識を使って複雑な形状の「仮想オブジェクト」をクラフトしていきます。
そして応用編は、S2AR と「外部のアプリケーション・サービスとの連携」です。「3Dモデリングとアニメーション」「地図を表示させる」「分子構造模型」を学びます。
本書を最後まで読み通せば、S2AR と Scratch の基礎が身につき、自由に仮想オブジェクトをクラフトできるスタートラインに立つことができます。

App Store に公開する前の段階で、開発者の Junya Ishihara 氏に S2ARのデモを見せてもらったのですが、その時の興奮は忘れられません。その時は、喫茶店のテーブルの上に立方体の小さなブロックが現れただけでしたが、無限の可能性を感じたのです。その興奮を読者の皆様にも感じてもらいたいと思っています。

拡張現実に興味を持つ、すべての読者を対象にしています。プログラミングのスキルは必要ありません。本書に収録された画像の通りに、Scratch ブロックを積み重ねるだけで、現実世界の上に「仮想オブジェクト」を浮かび上がらせることができます。
意欲さえあれば、小学生でも読み進められるように、すべての漢字にふりがなをつけました。本書はプログラミングの入門書としてもお使いいただけます。(英単語がたくさん出てくるなど、小学生だけのご利用には難しい部分もあります。保護者等のサポートをよろしくお願いいたします)

S2AR、ARKit、 Scratch、MagicaVoxel、Kamio Terrain Generator、地理院地図、その他本書で利用させていただいたプログラムのすべての開発者に謝意を表します。
拡張現実を操る未来のアーティストがここから誕生するかもしれない。その後押しができれば、それに勝る喜びはありません。

平成30年9月吉日 クリエイティブまさ

推薦文

S2ARの最初のバージョンは仮想現実の空間にブロックを置くという単純なものでしたが、
本書は、そこから拡がっていく無限の可能性とARの面白さの一端を垣間見せてくれています。

S2AR の開発者 Junya Ishihara

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です